昔も今も、旅の楽しみは各地の名物や名産品。
かつての東海道の宿場町、
小田原で長く愛されてきた、土産物や街道の食をご紹介します。
ういろう

医療の技術と知識をもつ外郎家の5代目が、北条早雲の招きを受け、1504(永正元)年に小田原へ。一子相伝の家伝薬「透頂香」は、旅人に万能薬として珍重された。土産物として今日に続くお菓子の「ういろう」は、室町時代に国賓をもてなす菓子として考案されたもの。薬屋として黒砂糖を仕入れられたからこそ生まれた米粉の蒸し菓子で、もっちりとした食感、上品な甘みが特徴。対面販売を基本に今も小田原だけで販売されている。



小田原かまぼこ



小田原の魚商が売れ残った鮮魚を原料に、各地に伝わるかまぼこ作りに独自の手法を加えて考案。箱根越えを前にかまぼこを食べた旅人により、そのおいしさが全国に広まった。1781(天明元)年の創業で、小田原かまぼこ発祥の店として知られるのが、北条家の家紋・三つ鱗を受け継ぐ「鱗吉」。自慢の板わさを味わいながら利き酒が楽しめるイートインスペースもある。特上蒲鉾紅白2,986円。
小田原干物

戦国時代、相模湾で大漁だったあじやカマスの内臓を出して塩漬けし、干して保存食にして戦の兵糧としたのが始まりと言われる。新鮮な魚の持ち味を生かした薄塩づくりが特色だ。1912(大正元)年創業の老舗、初代の名を冠した「早瀬幸八商店」では、丁寧な手開きと国産塩、無添加甘塩にこだわり、魚本来の旨みを凝縮した干物作りが今も行われている。真あじ中 1枚350円ほか。
梅干し

食べ物の防腐や健康食としての薬効から、小田原に城を構えた北条氏が梅干し作りを奨励。戦国時代には戦闘糧食として、江戸時代には箱根越えの旅人たちが栄養源として携帯し、全国に知られるようになった。小田原で150年の歴史をもつ「ちん里う本店」には、昔ながらの酸っぱい梅干しや10年ものの珍しい梅干し、梅を使った和洋菓子など幅広い品がそろう。

街道の味


1893(明治26)年創業の日本料理店。屋号の「だるま」は、創業者の姓、達磨をだるま大師の縁起にかけて付けたもの。もと網元ならではの確かな目利きで仕入れた、新鮮な魚介を使った寿司や天ぷら、季節の一品料理などが味わえる。唐破風入母屋造りの建物は、国の登録有形文化財。