昔も今も、旅の楽しみは各地の名物や名産品。
かつての東海道の宿場町、
箱根・三島で長く愛されてきた、土産物や街道の食をご紹介します。
箱根
甘酒



箱根越えをする旅人の喉を潤し、英気を養ってきた「甘酒」。江戸時代から変わらない、米と米麹だけで作られた甘酒を味わえる峠の茶屋が、二子山のふもとで13代続く「甘酒茶屋」だ。関所に近いことから、これから関所へ向かう旅人は身支度を整え、無事に関所を通過した旅人はほっと一息ついたと伝わる。甘酒1杯400円。
寄木細工

江戸後期、寄木細工が盛んだった静岡で技術を学んだ畑宿の職人・石川仁兵衛が、箱根に自生する多様な木材を用いて創作した工芸品がルーツ。木目や色が異なるさまざまな木を寄せ合わせた精緻な幾何学模様は、旅人の土産物として人気を博した。その伝統を受け継ぎ、寄木細工と木象嵌のオリジナル製品を作り続けるのが「浜松屋」。伝統工芸士による実演の見学もできる。
街道の味

湯坂山のふもとに佇む、滋味あふれる雉料理が名物の湯宿。雉の栄養とおいしさを知った創業者が、1963(昭和38)年に奥飛騨から移築した古民家を料亭とし、日本旅館で初めて雉料理を提供したのが始まり。四万十で育てられた鬼北雉は、クセがなくあっさりした味わいで、焼き霜刺や雉だしで味わうしゃぶしゃぶは絶品。
雉子亭 豊栄荘
三島
福太郎



江戸から11番目の宿場町である三島は、三嶋大社の門前町として古くから栄えた町。そのシンボルである三嶋大社では、平安時代から五穀豊穣を祈る「お田打ち神事」が行われてきた。そこに登場する“福太郎”を模した縁起餅が「福太郎」だ。古来より邪気を払うとされるヨモギの草餅は顔を、甘さ控えめのこしあんは福太郎がかぶる烏帽子を模したもの。その名前から“福を授ける菓子”として広く親しまれ、三嶋大社の名物になっている。1箱(12個入り)1,100円。
三嶋暦


三嶋大社の東に構える暦師・河合家が代々製造販売してきたと伝えられている旧暦(太陰太陽暦)が「三嶋暦」。仮名文字で書かれた暦としては日本最古とされ、文字や線が繊細で美しいことから、東海道の旅土産、将軍家や大名家への贈答品として人気があり、織田信長や徳川家康も使っていたという。暦の実物は、三嶋大社宝物館、河合家の家屋を利用した三嶋暦師の館などに展示されている。
街道の味

町一番の名物うなぎ。三島が誇る富士山の伏流水に生きたままさらすことで、くさみがとれ身が程よく引き締まる。1856(安政3)年創業の「うなぎ 桜家」では、年中食べても食べ飽きない「かるみ」を信条とするうなぎが評判。1200度の炭火を加減しながら焼き上げたうなぎは、香ばしくふっくら、口の中で脂がとろける。