温泉は冬と思い込んでいませんか。緑豊かな大自然や青葉を渡る風、渓流の涼音や夜空ににじむ湯けむり。
夏の露天風呂には、この季節だけの解放感があります。暑さに疲れた体をリセットするなら、夏こそ露天温泉へ。
眼前に広がる緑の絶景
離れで味わう極上スパ
―箱根吟遊(宮ノ下)



エントランスのある5階からエレベーターで1階へ。緑の回廊を進んだ先に現れるスパは、さながら森の中の隠れ家だ。スパのトリートメント前に浸かれる露天風呂は、視線の高さに木々が迫り、まるで森に浮かんでいるような感覚を覚える。源泉100%のフレッシュな湯が心身にすーっと染み入り、疲れもどこかへ飛んでいってくれる。
眼下に早川が流れる渓谷の斜面に建てられた、ラグジュアリーな温泉旅館「箱根吟遊」。眼前に箱根連山の大自然が広がる絶景を日帰りでも堪能できるのが「Ginyu Spa」だ。スパでは館内唯一となる、源泉かけ流しの露天風呂に貸し切りで入ることができる(入浴のみの利用は不可)。午前中から営業するスパは少ないが、ここは10時にオープンするので、他のホテルのチェックイン前やチェックアウト後など、旅先でも利用しやすい。
温泉で体をじっくり温めてから受けるオールハンドのトリートメントはとろけるようで、まさに至福。オイルの浸透も良くなり、美容効果も期待できる。8月末まで1日1組限定、12時までの施術開始で、夏におすすめの頭皮の炭酸パックを含む特別コースを提供している

絵画のような湖畔の景色
癒しに満ちるひととき
―絶景日帰り温泉 龍宮殿本館(元箱根)


眼前に広がる雄大な芦ノ湖と箱根外輪山が織り成す、ダイナミックなパノラマ。晴れた日には富士が顔を出し、湖上には観光船が往来する。
まるで絵画のような景色を独り占めするかのような湯浴みは、これ以上ないぜいたくだ。湖畔を吹き抜ける風が実にさわやかで、時折聞こえる野鳥のさえずりも耳に心地いい。女湯は、湯船と湖がつながったような感覚を、屋根がなく空が大きく開けた男湯では、この上ない開放感を味わえる。無色透明のやわらかな湯は、蛸川温泉。神経痛、筋肉痛、関節痛などに効果的とされる。
暑い時季は、日が高くなる前の午前中や日没後の比較的涼しい時間帯にぜひ訪れてほしい。自然と一体となれる入浴は、心身のリフレッシュにぴったりだ。
湯上がりを国登録有形文化財の建物でゆっくり過ごせるのもうれしい。龍宮殿本館は、昭和13年に浜名湖弁天島に開業したホテルを、昭和31年に芦ノ湖畔に移築したもの。50余年にわたる純和風旅館の役目を終え、現在は日帰り温泉として旅行者を迎えている。隣接する「箱根園」から水陸両用の「ニンジャバス」に乗れば、湖上から平等院鳳凰堂を模したという優美な外観が見られる。


上ることはできないが、歴史を物語る優美な空間となっている。
鮮やかな緑を愛でながら
野趣に富む湯に憩う
―湯本富士屋ホテル(箱根湯本)

山肌に沿うように設けられた湯処の名は、箱根湯本に菩提寺がある北条早雲にちなむ「早雲」。露天には、男女ともに岩風呂とヒノキが使われた湯船が配され、肌にやさしい、さらりとした単純アルカリ泉の湯が注ぐ。丸い湯船が愛らしい女湯は、木々にすっぽり囲まれた隠れ湯のよう。一方、長方形の湯船が配された男湯は敷地そのものが開けており、女湯とはまた違った趣だ。
露天エリアは風の通り道になっているのか、涼風が肌をなでていく。葉擦れや野鳥の声に心癒されながら、暑い時季でも爽快な湯浴みを楽しめそうだ。日帰り入浴時間は12時~20時。予約不要なので、気軽に立ち寄れるのがうれしい。中国料理、洋食、寿司のいずれかのランチが付くプラン(事前予約)も好評だ。
入浴後は「湯上がりラウンジ」でくつろぎタイムを。大きな窓の前に並べられたリクライニングチェアや特注ソファ、畳の小上がりなど、思い思いの場所で休憩できる。
ロビーに昨年新設されたバーラウンジでは17時~19時の間、生ビールやカクテル、ワインなどが特別価格になるハッピーアワーを開催中。夏の湯浴みと合わせて楽しむのにうってつけだ。


風そよぐ竹林を望む
白濁の湯を貸し切りで
― 川涌の湯 マウントビュー箱根(仙石原)

緑濃き雄大な外輪山に抱かれた高原リゾート・仙石原。標高660mに佇む「川涌(かわら)の湯 マウントビュー箱根」は、すぐ近くを涼やかな早川が流れ、朝晩は夏でもひんやりとした空気に包まれる。日々の喧騒を離れ、爽やかな空気とにごり湯に癒される一軒だ。
凛とした清々しい竹林を眺めながら乳白色の湯に身を委ね、自分だけの時間を楽しむ。そんな至福のひとときを過ごせるのが、貸し切り露天風呂「かぐや」。ヒノキでしつらえた趣ある湯船を、大涌谷から引いた貴重な湯が満たす。硫黄分、鉄分、ミネラルなどを豊富に含む名湯は、硫黄泉ならではの独特な芳香で、肌あたりもやさしい。湯に浸かれば、肌がすべすべ滑らかになる美肌効果も期待できる。貸し切りなので誰気兼ねなくのんびりとくつろげ、心も体も自然にふわりとほぐれていく。
湯上がりは、さらりとした浴衣に着替え、キンキンに冷えたビールで喉を潤したい。旬を生かした和食会席膳とともに極上の一杯を味わえば、“これぞ日本の夏”という気分を楽しめる。
貸し切り露天風呂は11時~14時の間、日帰り入浴も受け付けているので旅の途中に寄るのもおすすめだ。


豊かな緑に囲まれて
多彩な湯船を堪能
―箱根湯寮(箱根湯本)

人気の日帰り温泉施設「箱根湯寮」の大浴場は、露天風呂エリアが広いのが特色。岩風呂や信楽風呂、「熱ノ室」(サウナ)の後のクールダウンに最適な沢水風呂など、多彩な湯めぐりを満喫できる。
中でも圧巻は、別世界のような趣の「見晴湯(みはらしゆ)」。屋根があり、苔むした古木や木々の葉がすぐ近くに感じられる女湯には秘湯感が漂い、囲いや屋根がない男湯は、生い茂った木々とその上に広がる空の開放感が魅力。時間を忘れ、いつまでも湯に身を委ねていたくなる心地よさだ。一方、内湯は夏季の間は36℃前後のぬる湯「不感温湯(ふかんおんゆ)」に装いを変えるので、暑い日も長湯がしやすい。
湯上がりは懐かしのラムネで喉を潤すもよし、コシと歯応えにこだわった冷麺を楽しむもよし。お腹を満たした後は、畳敷きのスペースでくつろげる「休息房」、照明を落とした「うたたね房」でのんびりと過ごしたい。
箱根湯本駅から送迎バスで3分のアクセスながら、自然豊かな箱根湯寮。風情ある屋根付きの門から帳場(フロント)に向かう小路は、緑の木々が作るトンネルのよう。夏には、中庭を囲む通路や大浴場入り口前に風鈴が吊るされ、耳だけでなく目も涼ませてくれる。

