箱根の街は紅葉に彩られ、息をのむほど美しい景色がそこかしこに。
そして、“芸術の秋”にふさわしく、美術館が点在するのも箱根の魅力。
さぁ、「美」と心の癒しを求めて、紅葉とアートを巡る1泊2日の箱根の旅へ出かけよう!
もちろん、箱根の秋は、おいしいグルメもいっぱいだ。
※目的地までの所要時間は目安です
<1日目>
箱根湯本駅からすぐの「あじさい橋」のたもとから人力車に乗り、いざ、旅へ出発! 秋の心地よい風に吹かれながら、大の箱根好きの俥夫が案内してくれるのは、季節の見どころ、古温泉街「湯場」、芸者さんのお稽古場「湯本見番」など、箱根の定番から穴場スポットまで。人力車の上からのんびり眺める秋の箱根はいつも以上に美しく、まるでタイムトリップしたかのよう。
昼時。駅前の「カレー屋さる彦」を訪れて、これからの旅程に備えてお腹をしっかり満たすことに。ここで味わえるのは、本格派のスパイスカレー。国産野菜をたっぷり使い、こだわりの肉と厳選されたスパイスでじっくり煮込まれた一品だ。米は御殿場産を使用。メニューは牛すじカレー、トマトポークカレー、ポークキーマカレー、ココナツチキンカレーの4種で、2種のコンビネーションも可能だ。トッピングも豊富で、地ビールとの相性も抜群! さらにお口直しとして、同建物内にある「GELATO 1stママミルク」のジェラートがついてくる嬉しいサービスも。食事のあとは、1階にある「まんじゅう屋・菜の花」で、蒸したてのおまんじゅうを頬張るのも良し。辛~甘のスペシャルコースに、胃袋も心も大満足。
箱根登山電車に乗って赤や黄色に色づいた絶景が眼下に広がる早川橋梁を通り強羅駅まで。それからケーブルカーに乗り換えて「箱根美術館」へ。縄文~江戸時代の焼き物を中心とした美術館で、その庭園は言わずと知れた箱根の紅葉の名所でもある。200本以上の色鮮やかなモミジと約130種の苔のコントラストは息をのむほど美しく、まるで絵画の中に入り込んだかのよう。ゆったり散策しながら、ぜひ「箱根強羅公園」にも足を延ばしてみたい。箱根強羅公園は、大正3年に開園した日本初のフランス式整型庭園。噴水池を取り囲む様々な種類の樹木は、この時期、美しい秋色に染まる。
店舗情報
箱根美術館
箱根強羅公園
創建は1356年と、古い歴史をもつ「長安寺」。五百羅漢の寺として知られ、境内の至る所に喜怒哀楽さまざまな表情を見せる数百体の羅漢像が鎮座している。そんな静かな寺が紅葉に彩られる秋は、まさに荘厳美麗。そっと身を置くだけで、心が浄化されていくようだ。寺には羅漢像のほかにも、現代彫刻家による彫刻品や四季折々の花があり、見どころ満載。
箱根の秋の風物詩として、仙石原のすすき草原も見逃せない。台ヶ岳の斜面を覆いつくすように、黄金の穂が揺れる幻想的な風景は圧巻。草原の中にはススキをかきわけるようにして散策路があるので、ぜひ歩いてみよう。見渡す限りのススキ、続く一本道、秋の青空……目に映るすべてが美しく、カメラを構えて写真スポットを探すのも楽しい。
いっぱい歩いて秋の自然美を堪能した1日目は、仙石原エリアに宿泊。このあたりは白濁の湯、炭酸水素イオンを含む湯など、個性豊かな泉質の温泉が点在している。ゆったり体を癒して、明日に備えよう。
<2日目>
2日目は桃源台港から元箱根行きの箱根海賊船に乗って、湖上の散歩からスタート! 船上デッキで朝のさわやかな風を受けながら見えてくるのは、赤や黄色に美しく染まった駒ヶ岳。その絶景を優雅に満喫できるのも、クルージングならではの醍醐味だ。11月頃、紅葉はピークを迎え、富士山との共演がますます美しくなる。ぜひセットで写真におさめたい。
芦ノ湖畔の高台に立つ「成川美術館」へ。ここには現代日本画を中心としたコレクションから、季節ごとに選ばれた80~100点が展示されている。アート鑑賞で秋に浸ったあとは、館内のビュースポットとして知られるティーラウンジ「季節風」で軽食をとり、ひと休憩。店内の大きな窓からは芦ノ湖と富士山の雄大な景色が望める。メニューはホットサンドやピザといったお腹にたまるものから、小田原の老舗・盛月堂の上生菓子と一緒に京都・宇治産の抹茶が味わえる「抹茶セット」などの甘味もある。
成川美術館を出たら、箱根旧街道の杉並木を歩いてみよう。まるで時代劇に迷い込んだかのような、威風堂々とした500メートルもの並木道。現存する400本の杉の中には樹齢360年、幹周り4メートルを超える巨木もあるという。ふと空を見上げれば、江戸時代から、杉が雨風や日差しから旅人を守ってきたことに気づかされる。箱根と杉の歴史に思いを馳せながら20分ほど歩くと、次の目的地が見えてきた。
その名の通り、美術館の入り口から一筋縄では入れない、ちょっとした仕掛けがなされた「箱根からくり美術館」。館内には、名工たちが製作した秘密箱やからくり箱などの寄せ木細工の作品が100点以上展示され、実際に触れて遊べるコーナーもある。また、伝統工芸と最新の映像技法をシンクロさせたプロジェクションマッピングも必見。帰りは館内や向かいの箱根丸山物産でお土産選びも楽しみたい。
バラエティー豊かなショップが軒を連ねる箱根湯本の街。初日は人力車で回ったので、今度はお目当ての店を探しながら、そぞろ歩きしてみよう。湯本橋の前まで来てふと目に留まったのが、店頭に源泉かけ流しの足湯コーナー(200円)を備えた和菓子屋「福久や 九頭龍餅」。看板商品の九頭龍餅は、もっちりとした鹿児島産ヒヨクモチと十勝産の北海大納言小豆の上品な甘みが絶妙のハーモニー。さらに秋にぴったりの「口どけモンブランソフト」も注文し、足湯に浸かりながらいただくことに。糸のようになめらかな和栗クリームがたっぷりで、まさにとろけそうなひと時。旅の疲れもじんわり癒されていく。さて、次はどの店をのぞこうか……。空はほんのり茜色に染まってきた。
箱根を満喫した後は小田原へ移動し、お土産タイム!秋らしいスイーツを求めて、駅前地下街にある「GOOD Mountain Apple Pie」へ。ショーウィンドウに並ぶのは大きな三角形型の焼きたてアップルパイ。バターの風味豊かなサクサクのパイ生地に、キャラメリゼされた青森産りんごがゴロゴロ入っている。一番人気は、地元産の牛乳と平飼い有精卵を使ったカスタード入りアップルパイ。そのほか、期間限定のパンプキンパイもおすすめの品(2024年末日まで販売予定)。北海道のえびすかぼちゃを使用した自然な甘みのかぼちゃあんとサクサクのパイが好相性。通常はかぼちゃの形だが、10月末まではハロウィン仕様になっており、見た目にも楽しいパイはお土産にも最適だ。
旅の締めくくりは「田むら銀かつ亭」小田原駅地下店で夜ごはん。ここは行列の絶えない箱根・強羅店に続く2号店で、名物は「豆腐かつ煮」。特注の豆腐にジューシーな国産豚ひき肉を挟んで揚げたあと、卵でとじて土鍋で煮込んだ一品。サバ節の出汁に長ネギや玉ネギの甘みも効いた、やさしい味わいだ。小田原駅地下店ならではの鮮魚を使ったメニューもあるので、ぜひ一緒に。老舗の味を堪能しながら、箱根の秋の美しさを想い、旅の余韻に浸りたい。