箱根で夏の暑さをしのぐ涼風&絶景スポットを訪ねてNEW!

木々の緑が深まり、陽光がまぶしい季節。吹きわたる風が夏の暑さを和らげてくれる絶景スポットを訪ねませんか。山頂の展望施設や風を切って進む湖上クルーズ、緑に囲まれた静謐な茶室など、涼とともに大自然の営みを体感できるスポットをご紹介。夏の避暑旅はぜひ箱根へ。

大涌谷

荒涼とした谷と噴気
地球の鼓動を間近に

長さ約11m、高さ約8m、足元がガラス張りの「息吹のデッキ」。蒸気が立ち上る様子が目の前に広がる。

 

 約3000年前の噴火により、神山(かみやま)の斜面が崩落して誕生した大涌谷。背後にそびえる黒い山は冠ヶ岳、今も立ち上る水蒸気、黄色い硫黄の結晶など、地球の鼓動と神秘を間近に感じられるスポットとして知られる。
 その大涌谷に4月下旬、展望エリア「ちきゅうの谷」がオープンした。個性豊かな3つの展望デッキを新設。地面からの高さが約8mで宙に浮かぶような「息吹のデッキ」は、足元がガラス張りだ。スリリングな気分を味わえ、風向きで変わる視界の変化や硫黄のにおいなど、五感で大地の息吹を感じることができる。名前の通り、風が輪を描くように吹き抜ける「風の輪テラス」は、足元からも風が抜けるように金属製の床には小さな孔が開いている。谷に向かって突き出たスペースは、撮影スポットとして人気だ。
 行き交うロープウェイを至近距離で見ることができる展望広場は「大空のほとり」。飲食に便利なカウンターもある。駅舎内の「谷のマルシェ」で大涌谷の自然をイメージしたオリジナルスイーツやドリンクを買って、山の風に吹かれながら味わいたい。

駅舎の階段の真上にぐるりとかけられた「風の輪テラス」。円の直径は約18m。
突き出した部分に立つと、体いっぱいに風を感じられる。
ロープウェイがすぐそばを通る「大空のほとり」でティータイムを。
岩をイメージしているが、座るとソフトな「岩の巣ベンチ」。

DATA

ちきゅうの谷

TEL:0465-32-2205(平日9時~17時)

住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251

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元箱根

絶景パノラマが広がる
箱根一高い展望広場

「芦ノソラ」の突き出しデッキは地面からの高さ3m、長さ10m。風をまとい、眼前の景色と一つになる感覚が楽しめる。

 標高1356m、真夏でも冷涼な風がそよぐ駒ヶ岳は、神山に次ぐ箱根で2番目に高い山。箱根園から箱根駒ヶ岳ロープウェーで7分ほどの山頂には箱根神社の奥宮・箱根元宮があり、眼下に芦ノ湖とその縁に連なる外輪山、晴れた日にはその向こうに駿河湾や伊豆半島、西に富士山、東に相模湾や横浜、東京、房総半島を望める。
 その山頂に、4月下旬に誕生した「芦ノソラ」は、箱根一の高さを誇る展望施設。駅舎を出ると、広々とした階段状の展望デッキ「芦ノソラ」が設けられ、座ってゆっくり景色を満喫できる。湖に向かってせり出したデッキの先に進めば、絶景に包まれるような浮遊感を味わえ、心地よい風が涼を運んでくれる。
 ネットベンチで思い思いにくつろげるのは、相模湾を望む「海ノニワ」。ここには飲食できるカウンターもある。巨大フォトフレーム「富士ノガク」では、富士山と一緒に額縁入りのような写真が撮れる。
 山々の緑と芦ノ湖の青が美しく、広がる360度のパノラマは、まるでリアルな鳥瞰図(ちょうかんず)のよう。夏の色濃い思い出が作れる場所だ。

ネットベンチが連なる「海ノニワ」。寝転がって目をつむり、風の音に耳を澄ませるのもいい。
富士山モチーフ、地産の柑橘を使った限定コラボドーナツも購入できる。
ロープウェーの外装も一新。車窓からのパノラマに高揚感が高まる。
「富士ノガク」は幅3.5m、高さ2.5m。富士や雄大な山並みと一緒に思い出に残る写真を。

DATA

箱根駒ヶ岳 芦ノソラ

TEL:0460-83-1151(箱根園)

住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根駒ヶ岳

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元箱根

大自然に包まれて楽しむ
特等席での湖上クルーズ

船の一番前に立つことができる、特別船室専用デッキ。
さわやかな風が吹き抜け、思わず深呼吸したくなる。

 湖上を渡る風と緑豊かな山々、眼下に広がる湖面のきらめき――さわやかな夏の芦ノ湖を全身で感じられるのが箱根海賊船だ。
 桃源台港・箱根町港・元箱根港をつなぐ海賊船は、デザインの異なる3隻で運航している。なかでも「ビクトリー」は、4月下旬に特別船室をリニューアルし、英国の伝統と文化を感じるシックな空間に。チェック柄の床タイルや英国デザイナー、ウィリアム・モリスの代表作「いちご泥棒」のテキスタイルを取り入れたソファ席などが設置され、優雅な雰囲気を味わえる。
 デッキに出ると、少しひんやりとした風が肌に心地よい。気候条件が合えば遊覧中に富士山が見え、箱根神社の「平和の鳥居」と一緒に写真を撮れるチャンスもある。
 ビクトリーと同時期に改装された元箱根港から乗る場合は、海賊船の厨房をイメージしたカフェ「パイレーツ・ギャレー」に立ち寄り、冷たいドリンクやスイーツをテイクアウトするのもおすすめだ。船内カフェにはビールサーバーもあり、船旅をより一層盛り上げてくれる。

「ビクトリー」は18世紀に活躍したイギリスの戦艦がモデル。
一番人気の席は船の先頭に面したソファで、英国らしいチェスターフィールド調。
ほかに一人で利用しやすいカウンター席もある。
元箱根港のカフェで販売する「宝箱パイシュー」(各480円)。
カスタード、抹茶、いちご味の3種。

DATA

箱根海賊船

【元箱根港】
TEL:0460-83-6325(平日9時〜17時)

住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根6-40

※特別船室は運賃のほかに別途料金が必要

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強羅

 巨岩と緑が包む茶室で
一服の抹茶に涼む

窓外に明星ヶ岳の「大」の字を望む「対字斎」は三渓が設けた茶室。今年、約20年ぶりに屋根の葺き替えを行った。

 左右対称の通路や噴水池などが特色のフランス式整型庭園として、大正3(1914)年に開園した箱根強羅公園。西洋的な印象が濃い園内にひっそり佇む和の一角が、「白雲洞茶苑(はくうんどうちゃえん)」だ。近代数寄の三大茶人と言われる鈍翁(益田孝)、三渓(原富太郎)、耳庵(松永安左ヱ門)に継承された貴重な茶席群。「深林の中に侘び住む山びとの住まい」を主題とし、緑濃い木々と強羅ならではの巨岩が調和した、趣深い別世界を創り出している。
 茶人らが好んだのは、流儀や作法にとらわれない自由な茶の心。これを受け、誰でも気軽に抹茶をいただけるのは、貴重な田舎家の席「白雲洞」。縁側から吹いてくる風を背に、心づくしの一服を味わえば、茶碗の中の緑と心地よい苦みに、夏の暑さがすっと和らぐのを感じるだろう。茶菓をいただいた後は、渡り廊下で結ばれた住居を兼ねた茶室「対字斎(たいじさい)」、茶室付属の岩風呂「白鹿湯(はくろうとう)」などの見学を。杉板張りの外壁、柱や梁、歪みのある大正ガラスなど、数寄者が心を寄せた茶室をじっくり鑑賞したい。

茶席には掛け軸や季節の挿花が飾られ、目を楽しませてくれる。
巨岩奇岩と木々に包まれて佇む「白雲洞」は、茅葺屋根や縁側など山家の風情が濃い。
抹茶は京都宇治、蓬(よもぎ)饅頭は小田原から。茶室観覧付きで750円。

DATA

白雲洞茶苑

TEL:0460-82-2825

住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300
(箱根強羅公園内、別途入園料が必要)

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