暖炉と焚き火
癒され冬の宿6選 〈後編〉

一年で最も寒さが厳しいこの時期。
暖炉や焚き火、囲炉裏のある施設に出かけ、
ゆらめく炎を見つめ薪のはぜる音を聞きながら、
心身ともに温まりませんか?

強羅

箱根の我が家でくつろぐ
静かな大人の夜時間

暖炉のぬくもりが空間をやさしく包む「リビングルーム」。軽食やスイーツなども楽しめる。

 ホテルのコンセプトは「箱根の我が家」。自宅のようにくつろいでほしいと「リビングルーム」と名付けられたラウンジでは、暖炉で炎がゆらめく。薪が燃える音や香り、じんわり伝わってくるぬくもりに、リラックスしながらも五感は研ぎ澄まされるよう。夕方のラウンジでは、宿泊者向けにお得な料金でフリーフローを用意。夜にはバーラウンジとなり、静かな大人の時間を堪能できる。
 火を扱うことの安全や無病息災などを祈願して、毎年10月1日に催されるのが「暖炉開き」だ。箱根神社の神職による祝詞から始まり、暖炉のお清め、火入れ、スタッフや宿泊者が参加する玉ぐし奉納も行われる。珍しい火入れの神事に合わせて泊まりに来る人もいるという。
 ぜひおすすめしたいのは、2日目を有意義に使える連泊。館内の「スパIZUMI」で、自然由来の製品にこだわったトリートメントを受けるもよし、早雲山駅までの無料送迎を利用して、ロープウェイで大涌谷や桃源台に足を延ばすもよし。夕方「我が家」に戻れば、暖炉でゆれる火がやさしく迎えてくれる。

暖炉のそばで楽しみたいフリーフロー。手頃な料金でシャンパン、ワインなどが飲み放題に。
客室は全室平均68㎡のゆとりある広さで落ち着いた雰囲気。
ハイアットのHとYをデザインした浴衣。巾着袋は持ち帰り可。
箱根に自生する薬草や西湘の柑橘などを取り入れた新メニューを体験できるスパ。

DATA

ハイアット リージェンシー 箱根 リゾート&スパ

TEL:0460-82-2000

住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320
箱根登山鉄道強羅駅から無料シャトルバス5分(運行は10時〜18時30分)
1泊2食付 1名39,776円~

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御殿場

富士一望の”リビング”
星空の下で焚き火を

敷地内の最前列に位置する「藤乃スイート」のデッキテラス。富士を眺めながらの焚き火は格別だ。ドッグキャビンや車椅子対応のキャビンもある。

 紅富士や冠雪など多彩な表情を見せる富士山を正面に、非日常感あふれるグランピング体験ができる「藤乃煌 富士御殿場」。独立した寝室とリビング、ダイニングをもつスイート仕様のキャビンが19棟並ぶ。そのすべてに備わるのが、焚き火を楽しめるアウトドアリビングだ。ゆらゆらと動く炎や静かに燃える真っ赤な熾火を眺めながら、家族や友人とじっくり語らいながら夜を過ごせる。薪は火持ちのする広葉樹。夕食時にスタッフが着火してくれるので安心だ。
 夕食は、用意された食材を自分たちで焼いて味わうバーベキューディナーも選べるが、焚き火もできるのはグランピングディナー。肉を焼いたりスープなどを温めたりするだけでコース料理を堪能できる。熱々のアヒージョやダッチオーブンの煮込み料理を味わい、ワイルドなトマホークステーキを頬張れば、アウトドア気分が大いに盛り上がる。
 12月中旬には展望露天風呂もオープン予定。開業5周年記念として、車で25分の「箱根ユネッサン」を宿泊当日と翌日に無料で利用できるのもうれしい(12月28日まで)。

焚き火のぬくもりを感じながらの野趣あふれるディナー。豪快な骨付きステーキは自分好みの焼き加減に。
ホテルさながら、ダブルサイズのベッド2台を備えたキャビンの寝室。家族やグループで利用したい。
広大な敷地に独立型キャビン19棟、グランピングドーム5棟を配置。冬期はソログランピングプランも。
焚き火はできないが、直径6mの大型テントで優雅なキャンプ気分を味わえるグランピングドームも好評。

DATA

藤乃煌(ふじのきらめき) 富士御殿場

TEL:050-3504-9933

住所:静岡県御殿場市東田中3373-25
東名高速御殿場ICから車で3分
1泊2食付 1名29,700円~

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箱根湯本

里山風情にひたる
本格的な囲炉裏料理

自在鉤(じざいかぎ)でつるされた鉄鍋など、昔懐かしい調度品が迎えてくれる店内。

 “古民家風の里山温泉”がコンセプトの「箱根湯寮」は、四季折々の自然を感じながら、趣ある湯に浸かれる日帰り温泉。湯上がり客はもちろん、ここでの食事を目的に訪れる人も多いのが、本格的な囲炉裏料理を堪能できる「囲炉裏茶寮 八里」だ。店内に足を踏み入れると目に入るのは、囲炉裏が切られたテーブルや、階段箪笥など時代物とおぼしき数々の調度品、炉端で高温の炭を扱う料理人の姿。昔ながらの懐かしい里山風情が、訪れる人の心を和ませてくれる。
 メニューの主軸は「炉端」と「炙り」。「炉端」は、800℃近い高温になる炭で、料理人が食材を焼き上げて提供。約20分、じっくり時間をかけて香ばしく焼かれたヤマメはふっくら、ホクホク。秋冬は、富士山の湧き水で育った「金太郎マス」を味わうこともできる。
 一方、「炙り」はテーブルの炭で、自分で食材を焼いて味わう。国産牛や有頭海老、季節の野菜がセットになった「七輪炙り山海の八種盛り」が人気だ。
 店内は思いのほか広く、囲炉裏席のほかにも子連れに適した座敷、掘りごたつやカウンター席などがあり、さまざまな客層が利用しやすくなっている。

炉端で焼かれるヤマメは神奈川県山北町、ヤマメより一回り大きな金太郎マスは静岡県小山町から届く。
大ズワイガニ、金目鯛、ブリなど海の幸をそろえた 「冬の囲炉裏コース」。炭火で焼く体験もできる。
岩風呂(写真)や信楽風呂など数種の湯船がある大浴場。食事の前後に入浴を楽しみたい。

DATA

箱根湯寮 囲炉裏茶寮 八里

TEL:0460-85-8411

住所:神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤4
箱根登山鉄道箱根湯本駅から無料送迎バス3分

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