歩いて知る
箱根旧街道の魅力 

暑さが和らぎ過ごしやすくなる秋は、
野山を歩くには最適なシーズン。
箱根在住の登山ガイド、金子森さんに
箱根旧街道を歩く魅力や楽しみ方をうかがいました。

金子 森さん
(登山ガイド・全国通訳案内士)
箱根町出身、在住。学生時代を欧米で過ごし30歳で箱根にUターン。語学力と登山経験を生かし、インバウンドツアーを企画催行する「Explore Hakone」を設立。「HAKONATURE BASE」でもガイドを務める。2022年よりGoldwinブランドアンバサダー。

400年前の石畳を歩き
江戸の旅人に思いを馳せる

東海道の中でも宿場文化と自然の美しさが混在し、往時の雰囲気が今も随所に垣間見られるのが、箱根旧街道の魅力です。

旧街道と重なる須雲川自然探勝歩道に入ると人がぐっと少なくなり、川音も心地よく、一気に時代をさかのぼった気持ちになれます。畑宿の発電所の下に徒渉できる場所があるのですが、秋はこの辺りの紅葉が見事で見応えがありますよ。

江戸幕府により1680(延宝8)年に整備されたと言われる石畳。それ以前は、降雨などでぬかるむと、ひざまで浸かる泥道になったという。

須雲川を越えると始まるのは、旧街道を象徴する石畳の道。江戸時代の石が現存する区間も残され、400年前からそこにある石の上を歩くことで、江戸の旅人に思いを馳せるのも感慨深い体験です。
しばらく歩いて到着する畑宿は、箱根寄木細工発祥の地。工房や土産物店に立ち寄ってみるのも楽しいですよ。畑宿から先は最大の難所といえる七曲がり。これがなかなかキツいのですが、“天下の険”とうたわれた道のりの先にある、「甘酒茶屋」で味わう甘酒は格別です。

ぜひ一泊して感じてほしい
昔と今の箱根の魅力

時代劇に出てきそうな杉並木の長さは約500m、現存する400本の杉の中には樹齢360年、幹周りが4mを超えるものもある。

さらに石畳を上り、元箱根からゴールの箱根関所までは下り。芦ノ湖が見えてくるとホッとします。
元箱根から恩賜公園まで、江戸から続く杉並木を歩けば、旅人を風雨や日差しから守る役目をしてきたのだと気付かされます。何度も来ている箱根にも、こんなところがあったのかと、驚かれる方も多いです。

杉並木の終着点にある「恩賜箱根公園」は、金子さんが家族とよく訪れるお気に入りのスポット。「隅々までよく整備され、弁天の鼻展望台から望む芦ノ湖の眺めも絶景です」

人とのふれあいも、旅をより印象に残るものにしてくれます。旧街道もそうですが、箱根の魅力は、旅人を「ようこそ」と迎える、宿場町ならではのおもてなしの文化にあると思います。旧街道にある6カ所の施設で、持参したマイボトルに箱根の水を無償で提供する「寄人プロジェクト」が始まっていますが、それも水を介した立派なおもてなしですよね。
箱根にはいい温泉、いい宿がたくさんあります。ぜひ一泊していただいて、昔の箱根と今の箱根の両方を楽しんでいただけたらと思います。

HAKONATURE BASE

箱根の豊かな自然を楽しむアクティビティの拠点

2018年に閉館した北原おもちゃミュージアムの建物を生かした「HAKONATURE BASE」。
2018年に閉館した北原おもちゃミュージアムの建物を生かした「HAKONATURE BASE」。「THE NORTH FACE 箱根」には、ショップの緯度経度がデザインされた箱根限定のステンレスボトルも。真空断熱構造により保温保冷が可能。

箱根湯本駅から徒歩7分。既存の建物や樹木を生かした居心地のよい空間には、こだわりのコーヒーやクラフトビールを提供するカフェラウンジ、アウトドアショップ「THE NORTH FACE 箱根」があり、旅の前後や休憩に立ち寄るのに最適。地元ガイドと歩く多彩なネイチャーツアーを実施するほか、コワーキングスペースやシャワールームを備える。

HAKONATURE BASE

住所:神奈川県足柄下郡箱根町湯本740
営業時間:10時〜18時
定休日:火曜

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